2016年11月10日木曜日

家族

私はフジテレビで昭和47年から昭和61年まで「オールスター家族対抗歌合戦」という番組を制作しました。
28歳から42歳までですから、私のテレビマンとしての青春を捧げた番組と言えるでしょう。その価値のある番組でした。

「著名人の家族が5チーム出場して歌合戦をする」単純な番組でしたが、萩本欽一という希代の名司会者と古関裕而・近江俊郎・水の江滝子などのレジェンド審査員が絶妙のトークで引き出す家族の機微に笑ったり泣いたり。
この番組は歌とトークで家族の有り様を描くドキュメンタリーバラエティーだと考えて制作に勤しみました。
毎週日曜日の夜8時放送、足かけ15年間699回、1441家族と出会い、1441通りの家族の有り様に触れ、そのうちのかなりの数の家族とは現在に至るまで親交があります。
夫婦や嫁姑の揉め事の仲裁もしました。子育ての相談相手にもなりました。
一緒に泣いたり笑ったり。というわけで、私は「家族問題評論家」というのがあれば有資格者だと自負しています。

もっとも、私の家族に言わせれば、「仕事にかまけて家庭のことは父母の世話も子育ても家内に任せっぱなし、まずは自らについて論評せよ。」ということになるでしょう。
そんな私でさえも、家族がいたから、家族に支えてもらったからここまでやってこられたと認めざるを得ません。

今年(2016年)、BSフジで30年ぶりに「復活!オールスター家族対抗歌合戦」を制作させてもらいました。
昭和から平成へ、核家族化、少子高齢化、女性の社会進出、介護問題、待機児童問題…家族の有り様が大きく変わったことを承知の上で、敢えて30年前の番組作りのコンセプトや手法にこだわって制作しました。結果、不都合や違和感はまったくありませんでした。ホッとしました。
家族の形態は変わっても家族の絆の強さや情愛の深さは変わっていないことを確認できたからです。

家族は人間関係の根本です。
家庭は社会(国家)の基本単位です。
家族が幸せでなければ、家庭が乱れれば、その集合体である社会が安定するはずがありません。
核家族化が進めば老人介護の問題が起きるのは当然です。
女性が家庭を出て働くようになれば子育ての問題が起きるのは当然です。
高福祉があたりまえの社会になってきていますが、社会に依存し社会の責任を問うだけではなく、社会を構成する一員としての自助努力や自己責任を忘れてはならないと思うのです。

私たち夫婦は結婚当初から両親と同居し三世代世帯を営みました。
家内は大学で勉強した英語を活かして高校教師になったのですが、子供ができると迷わず教師を辞めて専業主婦になりました。
以来、私は仕事一途、家内は子育てと家事一途、老後の両親は孫と至福の時間を過ごし、家内の手厚い在宅介護を受けて安らかに旅立ちました。
現在は、私たちが老境に入ってふたりでマンション生活、至近距離に娘夫婦と孫たちの住まいがあって、家内は高校教師になった娘の母親業をバックアップしたり孫たちに英語を教えたりするのを楽しんでいます。

昨今の風潮とは逆方向かも知れませんが、私は、家族はできるだけ一緒に居て、それぞれの世代がそれぞれの役割を果たして、支え合って暮らすべきだと考えます。
そして、曲がりなりにもそれができた私の家族を誇りに思っています。

またまた「オールスター家族対抗歌合戦」を制作させていただくことになりました。
BSフジ「新春特番 オールスター家族対抗歌合戦」(放送 1月2日 夜7時~10時)
観ていただけるとうれしいです。

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